特殊中押装置は、低推進力で施工を可能とする泥濃式推進工法と組み合わせることで、シールド工法線形を推進管で施工可能とする装置です。当然、泥水式、土圧式でも利用可能ですが、もっとも効果を発揮するのは泥濃式と言えます。今までになかった、泥農式と中押装置の組み合わせにより、より長距離推進と、曲線施工を可能としました。
この理由は、曲線箇所の推進管に作用する側圧にあります。元押ジャッキの推進力は直線方向にだけ働きます。その推進力は推進管を介して掘進機まで伝達されなければ施工できません。曲線を造形した場合、曲線区間の推進管は少しづつ角度を成しているので、元押推進力は少しづつ分力され伝達されます。この時、曲線の外側に働くのが側圧です。推進管は直線なので、より小さい直線(短い管長)の集まりで曲線を成した方が、側圧も小さく、より安全な施工となり仕上がりも綺麗ですが、やはりコスト面を考慮すると出来るだけ長い管長での施工となります。側圧の計算は曲線部の推進力で行うため、この曲線推進力を分力化し小さくする装置が特殊中押装着ということになります。
特殊中押し管は全て鋼製で製造されます。製造は日本ヒューム株式会社と提携し仕様を定めました。管径はφ800mm~φ3000mm、管長は1.2m、0.8m、0.6m用を現在ラインナップしております。板厚は標準と高深度用の二種類を用意しております。
通常の中押管はS管有効長とT管有効長の間に中押ジャッキを装備しますが、特殊中押装置はT管有効長内に中押ジャッキを装備します。そのため中押装置全体の有効長を短くする事が出来る為、急曲線にも対応する事が可能です。仕上げ材は内圧にも対応可能な高強度無収縮モルタルを使用し、拡幅目地同様の仕上げを行います。
推進管には必ず端面の保護にクッション材(緩衝材)が入っています。掘削中は後部からの推進力によって圧縮された状態にありますが、推進管の据え付け時にはその推進力は解放される為、推進管は伸びてしまいます。中押ジャッキのストロークは元押ジャッキとは違い通常300mmとなっています。そのため、伸びきった推進管を介して掘進機へ中押ジャッキ推進力を伝達させるためには、出来るだけ掘進機側(切羽側)へ配置する事が必要です。アパッチ工法協会では推進力からだけではなく、このクッション材の収縮量を考慮した配置案を提示します。
線形によっては前記した配置が困難な場合もあります。そのため、特殊中押装置を連続して(連結)して配置することも可能です。特に有効長0.6m(1/4)管に使用する中押ジャッキストロークは、200mmと短い為、連結した配置の方が安全性を確保できるため有効的です。
推進力の分割化に伴い、いままでは不可能とされてきた長距離推進(1スパン1000m以上)の施工が一般化され、特にシールド工法でしか施工できなかった急曲線を含む長距離掘削においては、大きなコスト縮減と工期短縮に貢献できます。掘削機の製造工期、セグメントの製造工期に左右されないばかりか、管材とクッション材のコストを抑えることができ、工事費全体で縮減化が図れる事となります。
到達立坑側に高圧の地盤改良を施す現場で、発進後すぐに急曲線が含まれるようなケースでは、掘進機先端が硬い為、曲線箇所の推進管へ負担が大きくなり、外側へ脹らむことで曲線箇所の精度不良をおこし、掘進機先端への推進力伝達ができなくなります。これらの現象を特殊中押装置によって推進力を分割し推進管への負担を軽減させることで解決できます。
各中押装置には推進力モニターを装備可能な為、それぞれの区間推進力を管理する事ができます。
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